KP社外ブログ TOP » レコメンドBOOK » 研究のプロに学ぶ現状分析の仕方:利根川教授
2009年01月12日
『精神と物質:分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか』
立花 隆・利根川 進 著(文芸春秋1993年)
利根川進さんが、1987年にノーベル賞を受賞された翌年、
文藝春秋上で行われた、立花さんとの対談を単行本化したのが、この本です。
利根川先生の研究が免疫学に与えた影響は大きいけれど、研究の中身である
ヒトのDNAなどの話は、正直難解でムツカシイのですが
一研究者として、分子生物学という新進の分野を切り開いた方の仕事のスタンスには
学ぶことも多くあります。そこには、”仕事の流儀”というような
(そんなTV番組がありますが) 普遍的なものを垣間見ることができます。
研究者とは、
・仮説を元に、事実を集め
・自分なりの分析視点をもって解釈を加え
・世の中の「分かっていないこと」に対して、答えを求める
のが仕事です。
過去、私も大学院という場所に籍をおいていましたから、この
仮説・事実の収集・分析・解釈・・・ という流れは、日常的に行っていました。
レポートしかり、レジメの作成しかり、論文しかり、です。
利根川さんと立花さんの対談では、この辺りのハナシが面白いです。
・仮説検証をする上で、研究者は誤った事実の集め方をすることはないのか?
・ノーベル賞を受賞する研究者と、そうでない研究者の違いは、
仮説構築ですでに差があって、その点は”センス” ではないのか?
・一所懸命に事実を集めても、それが既に別の研究所で答えが出ているという
ことはないのか?
・・・・などなど、立花さんの突っ込みが入ります。
利根川先生いわく
・仮説が間違っていても、実験結果という”事実”から、敏感に何かを学べば
そこから正解に近くなっていく。
・この”事実にピンとくる!”ところで、研究者によって違いはあるかもしれない
と指摘しておられます。
”仮説検証”とは、昨今、分析系のシステムのパンフレットなどで
毎度みる「四字熟語」ですが、利根川先生の指摘から学ぶなら
事実から何を見い出すか が重要ということになります。
例えば、閾値を決める、KPIを定義する、アラートを出す・・・・・これも「決めゴト」のように
語られる「テクニック」ですが、本当に必要なのは、
データの動きを見ながら、「お。」と気づくか、いかに異変を見抜くか
という「スキル」です。
テクニックとは異なります。
弊社が「分析力」という時、この「スキル」を指しています。
売上分析でも、ログ分析でも、web分析でも、しかり。
現状の定量データという事実を集め、きれいなレポートにすることは簡単です。
データの特異性や属性を知っていれば良い。
でも、
そこに、キーポイントをみつける「視点」こそが、分析力であり、
自社の売り上げ増加、顧客満足向上・・・etcに対する、答えを探る仕事だと考えます。
弊社では、レポートだけでプレゼンテーションをしない場合でも 必ず 解説をつけています。
綺麗な円グラフの”解説”ではありません。
今のデータから、今後、ビジネス展開上、今後どうなっていくか、の示唆です。
円グラフを並べて、その意味を解説しても、せいぜい分かるのは目先の一手。
次の次に何が起こってくるか、何を考えるべきかは
データを読み込みクセだったり、経験だったり、が必要です。
利根川先生が、現在、脳科学の分野にも研究を進めていることは象徴的です。
人間の脳は、0-1のデジタルの世界ではとても太刀打ちできない情報処理能力があると
言われています。
分析力とは、一朝一夕に身に付くテクではなく、取得に時間のかかるスキルだと思って、
システムに頼らず、自分の脳を駆使しましょう。
自分の処理能力を信じて、スキルを付けていっていただきたいと思います。
投稿者 sakuma : 2009年01月12日 23:47


